- 「ラルフィリア・サーガ外伝 魔馨の渓谷」 感想(ネタバレ) -


「ラルフィリア・サーガ」外伝の感想です
ネタバレしてますので要注意!




これは原作者有里紅良先生が執筆された「ラルフィリア・サーガ」の外伝小説で、同人誌(自費出版本)という形で発行されている本です。


内容は本編よりずっと昔、王子時代のティランことベルナロッサの活躍を描いたストーリー。
現国王ユリシーザスを亡き者にして王位につこうとする王弟ザジュヴールの陰謀に、ベルナロッサと仲間たちが立ち向かいそれを阻む内容です。

若き日のヴォルフことギエルフ=ヴォウやリーオなど、本編で登場したキャラクターも何人か登場します。ちなみにユーリはまだ生まれてないので登場しません。

全27章に及ぶ壮大な長編作品で、とても読み応えがあります。
第四王子としてのベルナロッサの境遇や、ラルフィリア王家の内情や人間関係も詳しく描かれていて、こちらも興味深いです。


ベルナロッサの万能超人ぶりは王子時代から健在で、思わずにやりとしてしまう場面も…。


また、本編で名前だけ登場していたティリアン王子やシャーリィ王女も登場。

ティリアン王子はベルナロッサとは幼い頃から一緒に勉強も悪戯もしてきた仲良し兄弟で、ベルナロッサを心配するなど、けっこういい人でした。
本編ではまだ登場してませんが、ユーリと出会ったら、いい兄貴ぶりを発揮しそうですね。

シャーリィ王女は思いっきり気性の激しい性格を見せ付けていました。マリョーシャ王女との場面はまさにドラマ「大奥」を思わせる女同士の対立といった感じです(苦笑)。
シャーリィはベルナロッサを慕っているようなので、今後ユーリの存在を知ってどうなっていくのか気になりますね。
でもディーンが「僕だってユーリを愛しているんです、兄さんにだって渡したくありません」とか言わないであきらめようとしていた様子を見ると、この国における国王の決定は絶対のようなので、シャーリィも身を引いてしまうのでしょうか。


本編の2巻でちょこっと登場していたリーオはこの外伝では大活躍してます。登場人物紹介でもイラストつきで紹介されていたり、挿絵にも登場したりと、けっこうおいしいところをもっていってます。この外伝でリーオが好きになった人、けっこういるのではないでしょうか。


本作の敵役であるザジュヴールのふてぶてしい悪役っぷりも必読。
僕は「ラルフィリア・サーガ外伝 魔馨の渓谷」を読んでから、「ラルフィリア・サーガ外伝2 河の果ての楽園」を読んだのですが、「ラルフィリア・サーガ外伝2 河の果ての楽園」を読んでから読むと、ザジュヴールは憎たらしさがさらに倍増します。
「ラルフィリア・サーガ外伝2 河の果ての楽園」ではナタールカとアークを死においやったザジュヴールは何も報いも受けずに終わってたので、本当にムカつきました。
でも、この「ラルフィリア・サーガ外伝 魔馨の渓谷」では、ザジュヴールは死ぬことはなくても、今までの報いを受けて失脚するので、多少はすっきりします。


そして今作品のキーマンの一人であるラリサ。彼女の活躍も必読です。ベルナロッサの思想に共感し、「故郷の太陽を再び見たい」という想いを抱いたラリサ。結局志なかばで命を落とすわけですが、こういった犠牲の上で得た勝利という悲しさも感じさせられる結末が有里紅良作品を物語っていると思いました。できれば幸せになってほしかったです…。

ちなみにこの本の表紙と挿絵は、本編と同じく結城信輝先生が担当されていて、美麗な表紙や挿絵も必見です。


ら・むうん畑通信販売ページで販売されていますので、「ラルフィリア・サーガ」ファンなら迷わず買いましょう。




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