――――――――― 『アルマ(アールマティ)』について ―――――――――
『アルマ』と『蒼ざめた月の光』についての説明。


アストリアを慕う魔族の娘アルマ
アルマ(アールマティ)
アルマはStudio e.go!のゲーム『蒼ざめた月の光』に登場する魔族の少女です。・・・ただし若いのは外見だけで、実年齢は数百歳(笑)。
アルマは愛称で正式な名前はアールマティ。
一般的に大地の女神を表す名前です。

幼い頃、戦争に巻き込まれて両親を失ったアルマは、主人公であるアストリアに拾われて娘として育てられました。

自分を守り育ててくれたアストリアを兄とも父とも慕い、アルマは胸の内にアストリアへの想いを何百年も抱いてきました。
でもアストリア自身は、アルマの自分への気持ちはあくまで親愛の情であり、それを超越した感情――恋愛感情であるとは気づいていません。


アストリアやアルマをはじめとする魔族は人間を糧とする種族であり、精気を吸い取ることで生きています。
魔族にとって一般的な狩りの仕方(精気を奪う方法)は性交であり、異性と交わることでもっとも効率よく精気を奪うことができます。
ですが、アルマはアストリアへの想いゆえに、アストリア以外の男に抱かれたくないと人間と交わって精気を奪う狩りは避け続け、何百年も吸血による方法で人間を糧としてきました(狩りの際、男をその気にさせるために多少の色気は使いますが、アストリアのために純潔は大事にしてるのですね)。

自分の気持ちに気づいてくれないアストリアにやきもきしながらも、『傍にいられるだけで贅沢なことだ』と自分の気持ちを押し隠し、それでもアストリアの背中を追う日々をアルマは送ります。
そして数百年の月日が過ぎ、その日常に大きな変化が訪れました。


アストリアに助けられたと勘違いして、命の恩人と慕う人間の娘セレネ、両親を魔族に殺されて以来アストリアたち魔族を狩ることを使命とするハンターの少女レベッカ。

彼女たちと関わったことで、人間に興味を持ち、次第に変わっていくアストリア。
そんな彼に焦りと苛立ちを隠せないアルマ・・。
プレイヤーの選ぶ選択によって、彼らの運命は様々な結末を迎える事になります。
魔族を狩る使命を背負う少女レベッカ
物語の鍵を握る少女レベッカ



ゲームのストーリーは、アリスソフトのAVG『アトラク=ナクア』の男主人公版みたいなお話です(人外キャラと気紛れで救われた人間の交流等々)。話はよくある昼メロみたいな雰囲気で、メロドラマによく見られるように、キャラクターも展開によってはかなり薄情になったり、とげとげしかった性格が最後には温和な性格になったり、恐怖ゆえに狂気に陥る哀れな女になったりと、性格がころころと変わるので、これはこれ、それはそれと割り切れないと辛いかも知れません。
変わらないキャラはアリス(セレネの親友)、アイリーン(セレネの妹)、アルマぐらい。アノン(町の有力者で悪役的存在)も別の意味でまったく変わりませんが…。

物語はとってもダークで、どんな展開であれアストリアはセレネの大事な人たちを殺めるので、エンディングはどれも誰かを犠牲にした上の結末のため、とっても後味は悪く釈然としない終わり方ばかりです。


セレネエンディング〜セレネとバーバラの旅立ち
アストリアとの思い出を胸に、母と旅立つセレネ
アストリアの犠牲となるキャラクターたちも一部を除き、完全な悪人ではないので、この点も複雑です。
セレネの義理の母であるバーバラは、夫の愛を奪った妾(セレネの母親)への嫉妬や憎しみをそのまま恋敵の面影を宿すセレネにスライドさせていただけで、根は優しい穏やかな人なのがセレネエンディングでわかるだけにかなり複雑です。セレネの優しさに長年の嫉妬と妄想から解放されて穏やかになったバーバラを見てしまったら、他の展開でセレネと心を通わすこともなく、長年の負の感情にまみれたまま救われる事も無く死んでしまうのはあまりにも哀れに思ってしまいます。
憎まれ役のポジションなので仕方ないといえば仕方ないのかもしれませんが…。


展開によっては、ただのワガママお嬢様のままアストリアの犠牲となって死んでしまったり、母の仇とアルマを死に追いやる一因を作る悪女になったり、死への恐怖から狂気に陥る哀れな女になったりする、セレネの腹違いの姉フランセスカも然り。
生来の気性の激しさに加えて、父親が母親以外の女性を愛してるのは子供としてショックだろうし、なおかつ母親がそれに苦しむ姿を見て育ったら、母親を苦しめた女とその子供のセレネを敵と思い嫌うのはごく自然な反応で、性格が歪んでしまったのは当然のことでしょう。
人間は自分と違うものを嫌う性質を持つし、それが家族を殺した相手と知ったら情け容赦なくなり、徹底的に苦しめて復讐してやりたいと思う、女性ならではの醜い部分。自分を慕う妹セレネの優しさに気づく事もなく、心を開く事もできず、死の恐怖にどうすることもできずに狂気に陥り哀れな末路を辿る弱い部分。この二つを併せ持つフランセスカはまさに人間という生き物を象徴していたのかもしれません。

こういった生々しい人間模様もこの作品の特徴なので、泥沼愛憎劇が苦手と言う方は抵抗を感じてしまうかもしれません。


またアルマとレベッカは公式サイトでヒロインの一人と紹介されているのにも関わらず、アルマはハッピーエンディングはなし、レベッカもアストリアの生死を握る物語の最重要ヒロインとも言えるポジションにありながら、彼女とアストリアが結ばれるエンディングはなしです。ヒロインの扱いが偏っているところも、やる人を選ぶゲームになってしまった原因かもしれません。


まあ様々なゲームがあるということで、興味を持った方はプレイされてみてはいかがでしょうか?



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